かつて「奥村燐」は「息子」であり「兄」であった。養父である藤本獅郎に守られ、愛され、慈しまれるうちに「奥村燐」は「息子」となった。双子の弟である奥村雪男を守り、助け、彼に頼られることで「兄」は「奥村燐」の身についた。藤本獅郎がこの世を去り、奥村雪男が自立した今でも、「奥村燐」はやはり「息子」であり「兄」であり続ける。「悪魔」を背負うことになっても、「人間」であることを失っただけで「奥村燐」に変わりはない。養父から与えられた「息子」と弟から託された「兄」は、今もなお「奥村燐」の存在に絶対的な意義を持たせるのである。





レッテル
(2011.06.06)


▲Text